今回は、若松 英輔さんの書籍『愛について』に書かれている名言を紹介していこうと思います。この作品はシリーズものとなっており、『美しいとき』『燃える水滴』『見えない涙』『見えないものを探すために ぼくらは生まれた』に関しての記事もあるので、合わせて読んでみてください。詩の素晴らしさに気付くことができる作品となっています。それでは、書かれている名言を紹介していきます。
『愛について』の名言集
車窓から見つめる
電車で 並んで座り だまったまま 風景を 見つめていた あの日。 あれが わたしの ずっと 探していた 幸せだった。 いまになって ようやく 気がついた。 かけがえのない 消えることのない 永遠のとき。
愛について
この詩を読んでいて思ったことは、学生時代、バスに揺られながら外の景色を眺めていたことが幸せだったのかもしれないということです。過去では叶っていたことも現在では叶わなくなっていて、過去に戻りたいと感じました。しかし幸せな瞬間は一瞬で過ぎますが、頭の中に残り続ける記憶となるので、消えることのない永遠になるのだろうと思いました。幸せが多過ぎない理由を見つけた気がしました。
残り続けるもの
あなたと 見たものは 眼の奥に。 あのとき 聴いた音楽は 耳の底に。 いっしょに 食べたものは 舌の奥に 刻まれている。 贈ってくれた 水仙の香りは 心の奥に。 あなたに ふれたことは この手が 覚えている。 でも 時は いったいどこに 仕舞われて いるのでしょう。 どうしたら あなたと 過ごした日々が よみがえるでしょう。
愛について
「あなた」との思い出が、「自分」を作り出しているのだろうと思いました。「あなた」と見たものは「私」の眼の奥に残っていて。「あなた」と聴いた曲は「私」の耳の底に残っていて。「あなた」と食べたものは「私」の舌の奥に残っていて。溢れそうな思い出は「私」の中に沢山あるはずなのに、どうしても"過ごした日々"を蘇らすことはできないのだろうと思いました。時はどこにあるのでしょう。
神様への祈り
あなたは たしかに 祈りを聞き入れてくださいました。 わたしは あのひとを 生涯 愛し続けられますようにと 祈ったのです。 ほんとうに おもいは 募るばかりです。 わたしの手からあのひとを奪って あなたのもとへとお召しになられた あの日から ずっと。
愛について
神様に「生涯愛し続けられますように」と祈った結果、愛する人を奪われてしまう結末に。この言葉を読んで、神様は"愛し続ける"ということを「いない人への思い」だと思っているように感じました。祈りが間違っていたのかもしれませんが、祈ったように「生涯愛し続ける」ことができている意味でも悪くはないように感じました。ただ会えないという苦しみが、日々付き纏ってしまうのは辛いですね。
悲しみと愛しみ
知ってましたか。 愛しみと書いて かなしみと 読むそうです。 それなら 悲しみを 知らない人は ほんとうの愛を 知らないのでしょうか。 手を伸ばせば あなたがいて 呼びかければ 応えてくれる。 そんな日には 幸せを感じるのに忙しくって 悲しみを 育むなんて 感じたことはなかった。 愛することは 悲しみを 積み上げることだったなんて 知らなかった。
愛について
愛しみと書くことで「かなしみ」と読むことを初めて知りました。言葉には不思議な力が込められているように感じます。世間的に「愛している」と言い慣れている人は、本当の悲しみを知らないのだろうと思いました。それよりも「愛している」とあまり言わない人のほうが、本当の悲しみに近い何かを抱いているように感じました。近くにいると安心してしまいますが、離れていると悲しくなるものです。ずっと一緒にいてしまうことで、愛が何なのか分からなくなるのだと学べました。
あなたという存在
あなたを 知らなければ わたしは こんなに 苦しむことはなかった。 あなたに 出会わなければ わたしは こんなに 悲しむこともなかった。 きっと ほんとうの わたしを 知らないままだった。 わたしは しあわせです。 あなたがいなくなって 身が焼けるほど 悲しんでいるのですから。
愛について
「あなた」という存在を知らない頃は苦しまなかったし、悲しむこともなかったと。それに本当の自分と出会うことさえできなかったのだろうと思いました。それが「あなた」に出会ったことで全てが変わっていくのだと感じました。出会うからこそ様々な感情が湧いてくるもので、経験をしていくことで人は成長していくのだろうと思いました。いなくなっても思い続ける意味を知ることができました。
さいごに
今回は、若松 英輔さんの書籍『愛について』に書かれている名言を紹介していきました。どうだったでしょうか。この記事を通して、この書籍に興味を持ってくれると嬉しいです。このサイトでは引き続き、”名言”の記事を更新していくので随時チェックしてくれると嬉しいです。